ぼくらのサイテーな夏@笹生陽子

ぼくらのサイテーの夏 (講談社青い鳥文庫)

ぼくらのサイテーの夏 (講談社青い鳥文庫)

小学6年生の終業式の日、桃井は「階段おち」ゲームで負けた上、骨折。その上夏休みいっぱいのプール掃除の罰を受けてしまう。たった二人でするプール掃除の相手は、ゲームであっさり自分に勝った上大人っぽくてなんだか気に入らないと思ってた栗田。

良かったです。おすすめ。児童文学であることを心の片隅において読んでほしいかな。字は大きめで、あまり長くなくて、ハッピーエンドなのです。児童文学で現代の家族や社会問題をモチーフにしたものって私は正直苦手なのですが(それならじゃんぷ読むよ)、これは面白かったです。ひねてない少年の視点でさくさく見つめてるのがぎりぎり嫌じゃない。

栗田がすごい大人なのと、ぼく「桃井」が普通の少年だけどなんのかんのいってひねてないところが、好対照だと思いました。そんな「ぼく」のほかに、優等生だったけど今ひきこもりがちのアニキや、桃井の小さい妹とかがいて、読後感はとてもさわやかでした。現代の社会問題を深くえぐる!とかいうテーマじゃない以上、私はこういう話のが好きだな。おすすめ。機会があったら読んでみてください。講談社文庫のを買ったのですが、どうせならやまだないとさんの絵で見たいぜ!てことで、画像はそちらを。

以下は良い子じゃない感じの感想。ややネタバレ。すみません!あの、このご本は普通におすすめです。

アニキとのぞみちゃんのセットは大変かわいい。アニキの描写にはてごころありだと思いますが、なんのかんのいってアニキを年上のお兄ちゃんだと捉えてる桃井とつかれたなあといいながらやっぱりいい子なアニキがいいなと思いました。最初にアニキの話になったときに「う、家庭内暴力?」と思ったけど、桃井が弟に絶対手をあげないからアニキは絶対おかしくなってなんかないというのがいいなと。
そして栗田はほんと大人だなあ。大人な私にとっては栗田はいわば一種の理想像なのですが、それをいいなと思う主人公の子もよかったな、面白いなと思いました。そしてこの話のラストシーンは、誰か読んだ人に一緒につっこんで欲しいです。タイトルみたとき、BLぽいタイトルだなあ(すみません)と思いましたが、一応テーマどまんなかなタイトルでした。ベタベタしてないし、ツンデレみたいな分かりやすい心情も、ジャンプみたいなベタな友情もないけど、直球に。