神の火@高村薫

神の火(上) (新潮文庫)神の火(下) (新潮文庫)
2年前に悶絶しながら半年がかりで読んだ高村薫の「神の火」についての徒然。すっごく読みたくて気になるけど、心臓が痛くなることが分かっているので、たびたび中断したので、1期から5期までありました。真面目に読んでるつもりなのに、ほも妄想甚だしいので、ダメな方はおやめください。

1期目-------------------
もうしょっぱなから心臓が痛い。

私はやーさんな幼馴染(日野)が好き。やくざのボスで主人公と昔仲良しこよしだった幼馴染。物語の最初でこんだけ仲いいと悲恋なんだろうけどな、お互いかわっちゃったし。でも隙がありそうで主人公(島田)に面と向かって「好きだから」と口にする明るい彼があんまり酷いことにならないといいなあ・・。すでに切ない予感がするのですが。

あとは、島田をスパイの道にひきこんだ江口がいて、島田は彼を嫌いつつも尊敬して惹かれている部分があるんですが。私は高村作品のお色気むんむん大人の男には興味ないからいいです・・・。リヴェイラの大人カップル風味。

ロシア人の若者(良)はなんだか儚い感じで気の毒です。


2期目-------------------
主人公の島田さんは、例によって前半は無感動であろうあろうとしています。冷めた目で傍観していようとするわけなのですが、結局まきこまれいくのでした。心臓いたい・・。

ロシア人青年の良に肩入れしていく島田さんもよいですが、私は幼馴染の日野がいいな。

ほんとは島田さんと日野さんで仲良くして欲しいのですが、日野さんは島田さんをかってるわりに、お互いが無理解な部分があるということを意識してないので、なんかだめになってしまいそうな不安を常に感じます・・。反対に島田さんはずっとそれを意識してるしな。

良と島田、良と日野、の方がそれぞれスムーズに仲よい。

一番こころあたたまったのが、良をぎゅっとして、するめを持った手で良の頭をなでる日野です。うう、じんわりするよー。日野がオープンなのはいつもですが、でも雰囲気良かった。良のパーカーを気に入って喜んでるとことか、良の満面の笑みとか、父と子なとこにぎゅっときました。この後、どう考えてもシビアな展開しか待ってないと思うと余計に。対して島田は、良にとっては、色気のある叔父さんって感じがします。で、叔父さんとお父さんは、会わない期間にいろいろあって別の道を歩んでて再会した今は微妙な仲なんだわ。

年上の余裕の大人が好きな人は、江口氏が好きだと思うけれど私は嫌です。五條氏のエディを感じます。エディは陽ですが、江口氏には斜陽を感じる。


3期目------------------------------
た、タコって・・・・。

さらりと語られた、日野と島田の小さい頃の1シーンにいやん!とつっこみをいれたくなった本日。けっこう真面目にひどいよ日野さん・・。

島田の若き日の嫌な思い出として、日野に、背中に生タコをつっこまれたのがトラウマだという・・。軟体で水物だからか、隠微かつ、単純にぞぞぞって感じなような。です。

こういうあっさり酷いことする若者2人の微妙な関係は「晴子情歌」主人公と従兄弟を思い出します。あれはセクハラだと思うんだけどなんというかちょっとどきりとして萌えでした。そのシーンにではなくて、一族の中で疎まれてるのに平気な顔してるかわいくない年下の顔の綺麗な主人公(まだ少年)にそういう振る舞いをする、兄貴分な従兄弟の心の中に。あれ自分に懐いてることを分かっているからだよなと思う。そしてそれでも従兄弟のにーさんがかっこよいんだよ・・。ものすごいホモ話のように描いてしまった、すみません、私の文章が変なだけです。


4期目------------------------------
あと少し。

江口も悪くないか・・な・・??最後の最後でどうでるかは全くわからないのでやっぱり嫌な予感もする。どきどき言いながら読んできます。

島田さんは江口といいかげん別れたまえ。(悪くないけどさ)なんでそこで泣くんだ。ちょっとくやしかった。でもよかった。

何にも無い、誰の手もつけられてない裸の土地と評された若き島田さん。そこをたったひとりで裸足で踏み荒らして遊んでたのが(江口曰く)日野というのがいいな。その後その土地は江口のものになってしまったわけですが。でも最後の最後にはその土地は結局誰の手もつけることができなかったわけで。

神の火は幼馴染モノだな(私の脳内だけかも)

後半、日野の繊細なところがじわじわでてきて、そんな場合じゃないのに、ああ好きだーとにこにこしました。いざとなると暴力が好きで、実は島田氏と同じぐらい空洞の空いた分からない人で、でもいつまでたってもやんちゃぽくて、自分が可愛がった人のことが好きで、頭がきれて豪気なので、組に向いてるといわれるけどぎりぎりでやーさんではない。そんな日野さん。そりゃ女にもてると思います。日野がヘルスのねーちゃんたちにもててる描写とかにこにこ読んでみた。私も腕にぶらさがりたいさ。

全てにおいて著者の方にすまない感想だ。でも面白く素晴らしくないとこんなにぎっしりした小説は読めないですよ。

5期完読----------------------
そうだろう、と分かっていたのですが、日野との別れは、私はもう十分悲しかったです。

涙するような展開とかじゃないけど、しかししかし。
涙したりはしないけどしばらくだまったころがっていたいです・・・。
ああ・・。

高村薫高村薫のDNAがあるですよね。そしてDNAというのはワンパターンとかそゆことではなくてええと根底にずっとあるテーマか。それに毎回悲しい思いをしてますが、私はそれがとても好きです。仮に私にふじょし要素がまったくなくてもそれは好きです。断言。

面白かったです。予想どおり黙って転がるはめになりましたが、でも好きな本に入れます。