平面いぬ。@乙一

平面いぬ。 (集英社文庫)

平面いぬ。 (集英社文庫)

分かりやすい面白い小説が読みたいよう!と思ったので、読書中に夢中・ミステリー・後味悪くないの条件を満たしそうな乙一の短編集を買ってみたけど面白かったです。読んでる最中に絶対とめられないという読書も楽しくていいな。

短編4編。その目を見た者は石に変えられてしまうという「石ノ目」の家に迷い込んだ主人公の和製ホラー風な『石ノ目』と、予想外にちょっと切ないけど可愛い話だった「はじめ」と、ぬいぐるみの「BLUE」と、中国人美女の彫師に彫ってもらったワンコの刺青が動き出す「平面いぬ。」

てっきり全部ホラーだと思ってこわごわ読み始めたら、どれもけっこう切なくいい話でした。でも読んでいる最中はいつ残酷な事態が淡々と起きてもおかしくないなーとはらはらします。乙一は昔一度読んだホラー「夏と花火と私の死体」(殺された女の子の死体目線で、それを隠そうとする幼い男の子とその子が好きな幼い女の子の冒険道中がもくもくかかれてて、当然最後に怖いオチ)の印象が強かったので。

私は「平面いぬ。」の、主人公と弟との問答の意味が最後に分かってかわいくあったかくていいなあと思いました。