りかさん@梨木香歩

りかさん (新潮文庫)

りかさん (新潮文庫)

主人公の女の子、ようこちゃんは今はやりのバービーみたいなお人形が欲しかったのですが、おばあちゃんがくれたのは、「りかさん」という黒髪の和風のお人形でした。最初はむくれていたようこちゃんですが、いろんな人形たちの声をきき、しゃべる「りかさん」と一緒にいろいろな人の心に遭遇します。

児童書だったらしい。・・・・気がつかなかった。

子供向けだからあたたかい雰囲気だとかわかりやすいんだとかそんな定型はほんとはないのでかまわないんですが、梨木香歩は好きだけど、ちょっぴり怖い。(りかさんがしゃべる日本人形だからってわけではないです。笑)

すごくすごく女の人のにおいがする。加納朋子もする。あんまり生臭くないけど非常に女の人な。梨木香歩は、なんかしゃれにならないようなシャーマニズムのような香りとやっぱり女の人の香りがするです。性のにおいとかそっちの方向じゃなくて、なんだろう、うまくいかない関係性とか、冷たいけどでもそれはそういうものだ。みたいな雰囲気とか。安定性のある女の人ってでてこないと思う。別の作品(西の魔女が死んだ)に、西洋の素敵な魔女っぽいおばあちゃんがでてきますが、なんでもできるおばあちゃんですら完璧な人じゃなく、主人公との不和の原因は女であることだ。

いままで見た梨木香歩作品のキーワードが、不思議・おばあちゃん・母と娘(何代も)・女の人・戦争だからなあ。

作品は皆面白いと思うけど、私は『西の魔女が死んだ』が一番分かりやすくて優しい雰囲気で読みやすいから好きです。最後がちょっとウィットがきいてるし。梨木さんの本領はあのこわいほどシャーマニズムちっくで、女の人のでてくる話だと思うし、面白いけど、でも怖い。


先日、お友達が、「りかさんを「ああローゼ●メイデンね」ていってる書評」に対して、あんなこわいローゼ●メイデンあるか!ってつっこんでるのを見てほんとに笑いました。