女王陛下の騎手@ディック・フランシス

私が一番好きな伝記。伝記っていうか面白いから。イギリス競馬の騎手として最上階にまで登りつめ、その後は売れっ子小説家として常に水準以上の小説を世に送り続けたディック・フランシス自身の伝記。

イギリスの障害競馬見てみたいなあと思いました。彼の、馬に乗ることや、レースすることに対しての大好きっぷりがとてもいいなあと思いました。もちろん、あのウィットにとんだ文章が面白くてにんまりなんですが。こんなにすごく面白い素晴らしいミステリー作家が競馬の世界のチャンピオンだったというのにびっくりです。(ジョッキーの彼を知っていた人は逆なんだろうけど)。この本は、彼の作品を数作読んでからのほうが、馬や騎手生活の記述のくだりとかでにんまりできてお得です。

一目ぼれの彼女との結婚を1週間後に控え、アマチュア騎手の中位に上がり、優秀な馬に乗ってレースにでることになったフランシス。「私は人々をあっと言わせるような成績でシーズンの終わりを飾りたいと念願していた。そしてそのとおりになった。」レース中に競馬場をとび出て、川に飛び込み、力強く泳ぐ彼の馬。鎖骨骨折で雨に打たれる彼。気の毒なのに、笑ったよ。なんというか(自分のことだけど)皮肉っぽく述べてるのも私は好きなんだなあ。

クールかつ馬大好きかつ人生面白くかつ皮肉なユーモアに溢れた彼の言い方がすきだなあと思います。原文(翻訳でいいから)読まないと面白さがつたわらないけど。いろいろある。

「私たちは空中で袂を分かってそれきりであった」※各種の有名な馬について述べている章の中である名馬について

絶対に障害(堀)を飛んでくれない馬に乗ってグランドナショナル(イギリス最高の障害レース。最も有名で権威あるレースだが最後まで完走できる馬の方が少ないハードなレースしても有名)に出ることになった彼とか。

馬は出口から最もとおい場所で転倒する法則とか。しかも、足引きずって歩かなかったら救急車が目前でUターンしてかえってしまったとか。

1日に3度も落馬し、規則上医務室で医者のOKをもらわなくてはいけないので、3度いったらとうとう看護婦に「ねえ。ここで待ってたら?そしたら次、馬場からここまで歩いてくるのを短縮できるわよ」と言われた話とか。

飛行機の免許を奥様(つい先ごろになくなられて、ディック・フランシスはもう手紙以外の文章はかかないと宣言されています。愛妻でありずっと大事な相棒であったそうだからなあ。)がとる話も好きです。

いろいろ面白いんです。でもすごく尊敬した。すごい。こんな面白い話をかける上に、こんな騎手だったのかー。はー。