青空の卵＠坂木司

青空の卵 (創元推理文庫)

一部では、有名な、名探偵はひきこもりシリーズ。S嬢に借りて読みました。

国内ミステリで、有栖川シリーズのような偏屈な（でも端正な顔の男前）探偵「鳥井」とそのワトソン役的な親友「僕」のお話。「僕」視点。話の構成は、北村薫や加納朋子のような、日常に不思議なことがおこり、それを鳥井が解き明かす展開なのですが、小説とか謎解きの鮮やかさの「おお！なるほど」とか「よくこんな話考えつくなーすごいな」的な面においては、前２者にはかなり遠いかな、技巧としては。でも嫌いじゃないです。読みやすかったし、雰囲気もいらいらしなかった（めったにない）。

というか変換しなくてもまんまBL小説ですね。しかしそこを「あざとーい」という気はおきなくて作者の方が素で自分の書きたい世界を書いたらああなったんでしょう。みたいな感じを受けました。

なので、みどころは、鳥井と僕の関係性です。私はああいう葛藤は好きですー。いつか自分は去らなきゃとか心のそこでずっと思っている状態に萌えだ。慎ましやかに切ないのが好きですよ。

これBLでいいじゃん。とたぶんふじょし属性のある人は誰もが思ったと思う。私も思ったよ。でもBLだとすぐホモに陥っちゃうのでそれは何かを損ねるかー。でも子ども言葉になる鳥井を見るときだけは、ああもう、ホモでいいよ。やっちゃえよ主人公とかずいぶん間違ったことを思います（切ないのはどうした）

オリジナルの、雰囲気のよい、静かなれど息の長い熱心なファンがつきそうな、オリジナルBL同人小説とかの素養がありそうなイメージです。良くも悪くもやさしい世界という感じでしょうか。