黒を纏う紫@五條瑛

黒を纏う紫

黒を纏う紫

完読後、帯のあおり「滅びの美神が舞い降りた」に気が付きました。ええー!そうか。それをあおりにしたんだ・・。笑

移民にあふれかえる近未来の夜の都東京。都市のエネルギーを支える「特殊物質」を運ぶトラックを運転する主人公。

人生を諦めたかのようにすごしてて実はあきらめきれてないという中年のおっちゃんは、伊織さんや福島さんのほうがかわいくかけてると思いました。しめっぽいのと熱いのの緩急が激しくてセンチメンタリズムがちょっとあふれちゃいがちぐらいが好きです。五條さんの描くおっちゃんは、そこまでしめっぽくならないです。五條作品で一番しめっぽいリリカルでセンチメンタルな人って葉山さんだと思う。

きっとお嬢さんがたにはクゥが鮮烈に映ったかと思います。でも「素敵ー」とときめくはちょっと残酷すぎて、ひぃぃぃ・・と思う。リオウに強烈な残虐性を加味した感じです。唯一の相棒が同じ移民の孤児で物静かでおとなしいスズ。産まれた時から切った事がない長い髪と、きれいな顔。わぁ・・。こんなにあれでいいんでしょうかね・・。私はあんまりきらきらしいのに興味はないから萌えないんですけど。

私はこの中でほもをさがせ!といわれたら、政治家(箕島)とロシア人秘書(クラウス)を押します。まったく全然愛がないんですが。昔ロシア人の学生と拾ったことを思い出す箕島の回想が琴線にふれます。どのみち壊れるカップルだったのですが、なにか心に残ることはなかったのか?お互いに。とかんぐるとなんだか切なくて邪推したくなります。