ルドルフとイッパイアッテナ

ルドルフとイッパイアッテナ

ルドルフとイッパイアッテナ

黒猫ルドルフは岐阜に住むりえちゃんのかわいい飼い猫(外飼い)。しかし本日魚屋の魚をひったくって逃げてる途中で気絶した場所がトラックの荷台。気絶している間に遠距離トラックで東京に運ばれたルドルフは、右も左も分からない東京の下町で、巨大なトラ猫に出会うのですが・・・。意地張って威勢がいいけどまだ子猫を脱したばかりの少年ルドルフは、その下町のボス猫で、けんかがめちゃ強くてそれでもって『教養』があるでかいトラ猫に出会う。そのトラ猫に名を尋ねたところ、奴はたくさんの人間にかわいがられているんで「俺の名前は『イッパイアッテナ』」。

ルドルフの成長物語。奇特な元飼い主にしこまれてなんと人間の言葉も読めるイッパイアッテナがすんごく賢い猫なのですが、迷子のルドルフに、人生(猫生?)とはなんぞや、教養がある猫がやることはなんぞや、を見せ付ける。かっこいいよな!ルドルフは勝気ですがそれでもイッパイアッテナの背中を見てまた一歩一歩成長します。

強くてかっこいいイッパイアッテナだけど、彼のロマンシズムや稚気が好きです。迷子のルドルフにとっては突然現れたドラえもん並に頼りがいがあり、ドラえもんと比較にならないぐらいに良い兄貴分(ごめんドラえもん・・・)な、クールな大人のイッパイアッテナが見せる人情(猫情?)と、あとほんとは彼が昔の飼い主大好きなところとかが切なく大好きです。

この1冊目は起承転結もめざましくはっきりしてる素敵物語なので、私は大好きです。ルドルフの成長物語。2作目の『ルドルフ ともだち ひとりだち』も面白い上にいい出来だと思うのでおすすめで、私はこの2作目でちびっこながらに切なさという感情を知りました。

小学校3年生の時に本かってあげるといわれて、表紙がかわいくなくてやだよと言ったのにこの本買われてぶーぶーいったのですが、読み出したらルドルフとイッパイアッテナに夢中でした。以来ずっと好きな本です。ちっさいときはひたすらルドルフのつもりで読んでたけど大人になったらイッパイアッテナが大好きだなあと思いました。

ルドルフの悪友というかばか友達として出てくるブッチー(金物屋の猫)も浅はかなれど男前でけっこういい奴です。そげキング的なかっこよさを少々ふりかけた印象です。ヒーローじゃないけど、けっこうやるぜ、みたいな。(あっごめんそげキングはヒーローだったよね)ルドルフとブッチーの砂場での勇姿があほくて好きです。イッパイアッテナはいかつい外見にそぐわず実はガンダムとか仮面ライダー好きな稚気のある大人な気がします。おすすめ!